歯周治療を行うと脳の機能が改善します【 クリニカルクラークシップ開発学分野 村岡 宏祐 講師 】
歯周治療を行うと脳の機能が改善します
クリニカルクラークシップ開発学分野
村岡 宏祐 講師
研究内容
歯周病は全身状態に影響しています。さらに最近歯周病が認知機能にまで影響を及ぼしていると報告されています。
そこで歯周治療を行うと脳の機能が改善するのではと考えました。本研究では,歯周病の患者様に歯周治療を行い,歯周治療前後で噛みしめ運動時における脳の機能についてfMRIを用いて検討しました。その結果,歯周治療を行うと歯茎の状態は改善することを認めました。脳の機能では,歯周治療を行うと脳の運動を支配する島,第一次体制感覚野に脳の機能の活性化を認めました。
歯周治療により歯周病になった歯が健康な歯の状態になった。歯の神経が脳にまで影響することを認めました。
本研究成果は2024年7月に「Journal of Dental Sciences」に掲載されました。
用語説明
fMRI (functional Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴機能画像法)): MRI装置を使って非侵襲的(生体を傷つけず)に脳活動を調べられ、空間分解が高い測定方法である。
島:運動,知覚,情動,意思決定など多くの機能に関与しています。
第一次体性感覚野: 運動,視覚,聴覚,体性感覚など多くの機能に関与しています。
研究者からのコメント
歯周病とアルツハイマー型認知症の関係が報告されています。そこで今回は歯周治療をすると脳機能が改善するのではと思い本研究を行いました。
私の分野は歯科治療を行っていますので,診療の現場で不思議な事が起きれば,研究を行いその結果を診療にフィードバックが出来ます。
本研究は日頃から不思議と思った事から研究にしました。臨床,研究に興味がある方は一緒にやりませんか。
論文?研究者情報
PubMed : https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39035336/
PMCID: PMC11259615
DOI: 10.1016/j.jds.2023.09.024
ORCID: https://orcid.org/0000-0002-1756-6305
researchmap: https://researchmap.jp/kosuke-muraoka