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安全で環境に優しい歯科用接着前処理剤の開発【 顎口腔機能矯正学分野 西澤 悠作 医員 】


10nishizawa2.jpg安全で環境に優しい歯科用接着前処理剤の開発
顎口腔機能矯正学分野
西澤 悠作 医員


研究内容
私は歯科用セラミックスの接着について研究しています。セラミックスは見た目が美しく、丈夫で、金属アレルギーの人でも使えるため、むし歯治療で使う被せ物(クラウン)によく使われています。通常、セラミックス製のクラウンは接着剤(セメント)で歯に接着させます。この時、クラウンとセメントの結びつきを強くするために、セラミックスの表面を薬品で処理します。この処理にはフッ化水素酸(フッ酸)が使われますが、フッ酸は猛毒で、歯科医師や患者様にとって極めて危険です。
そこで、私は安全にセラミックスを処理するために、フッ化水素アンモニウムという薬品に注目しました。フッ化水素アンモニウムは建物掃除に使用される洗剤の成分として使用されている薬品であり、フッ酸より毒性が低く安全性が比較的高いです。この薬品を水で希釈し、毒性を低くした水溶液を使用することで、安全かつ効率的にセラミックス表面を処理し、接着性を向上させることができることを発見しました。現在、この結果をもとに、安全かつ環境に優しい歯科用接着前処理剤を実現したいと思います。
本研究は顎口腔機能矯正学分野と生体材料学分野の合同で行われ、研究成果は2024年3月14日に「Journal of Functional Biomaterials」、2024年7月25日に「Dental Materials Journal」に掲載されました。

研究者からのコメント
私はこれらの研究に非常にやりがいを感じています。フッ酸に代わる安全な表面処理液を開発することで、歯科医師と患者さんに大きなメリットが生まれます。将来的には、毒性がさらに低くなることで、矯正装置を歯に接着する際、直接お口の中で使える可能性があります。この研究が進展し、より安全で効果的な治療方法が提供できることを楽しみにしています。皆さんもぜひ、研究の面白さや奥深さを感じてください。

論文?研究者情報
PubMed : https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38535264/
              https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38825449/


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