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お口の健康につながるメディカルハーブを探索しよう【 感染分子生物学分野 山﨑 亮太 助教 】


06yamasaki02.jpgお口の健康につながるメディカルハーブを探索しよう
感染分子生物学分野
山﨑 亮太 助教



研究内容
 虫歯や歯周病はおもに口腔内の病原細菌によって引きおこされる疾患です。口腔内を不衛生にし口腔環境を悪化させることで、病原細菌が増加してしまい疾患のリスクを増大させてしまいます。ゆえに口腔ケアを行い、病原細菌を減らすことで虫歯や歯周病のリスクを抑えることができます。歯磨きによるプラークコントロールが最も効果的ですが、子どもや高齢者、歯列矯正や義歯装着者などはプラークの除去が不十分となってしまいがちです。そこで、誰でも簡単にできる口腔ケア法を見い出すために、メディカルハーブに着目しました。
 メディカルハーブとはハーブの中でも特に健康維持のために使用されるもので、高血圧、糖尿病、肝機能の低下、肌荒れ、精神的な不調などさまざまなところに改善の効果があるとされています。そこで、本研究ではいくつかのメディカルハーブを用い、口腔内の病原細菌に対する抗菌効果を調べました。15種類のハーブを検証した結果、ハイビスカスが虫歯菌、歯周病菌ともに高い抗菌効果を示すことが明らかとなりました。特にハイビスカスの中に含まれる赤い色素が抗菌効果の主成分であることを突きとめました。この研究結果によって、ハイビスカスティーを飲むことや、ハイビスカスの成分を含むマウスウォッシュや歯磨き粉で口腔ケアを行うことで、より簡便に虫歯や歯周病を予防できることを示唆しました。
 本研究結果は2024年1月24日に「Journal of Oral Biosciences」に掲載されました。

用語説明
?プラーク:口腔内の細菌が歯の表面で増殖してできた白く柔らかい沈着物
?プラークコントロール:虫歯や歯周病の原因となるプラークを減らすこと、もしくは停滞させないことで、歯磨きもその1つ
?歯列矯正:歯並びや噛み合わせを矯正装置をつかって改善していく治療
?義歯:入れ歯や差し歯のこと

研究者からのコメント
 虫歯や歯周病は誰しもが起こり得る疾患です。私たちは虫歯や歯周病のない世界を目指して、さまざまな薬や口腔ケア用品の開発のための基礎研究を行っています。その1つとして今回メディカルハーブについての研究を紹介しましたが、現在も薬剤となり得る物質を探索し続けています。身近なものでも疾患を予防できる可能性がある、ということを発見することが医療への貢献につながりますし、研究の醍醐味です。

論文?研究者情報
PubMed : https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38278302/
ORCID : https://orcid.org/my-orcid?orcid=0000-0003-1152-3248
researchmap : https://researchmap.jp/70841998


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