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食感研究に必須な動物実験系の新規開発に成功【 生理学分野 中富 千尋 助教 】


03nakatomi2.jpg食感研究に必要な動物実験系の新規開発に成功
生理学分野
中富 千尋 助教



研究内容
 
食べ物の美味しさには、味や匂いだけではなく、食感(テクスチャー感覚)が重要です。しかし、食感がどのように認知されているかは明らかにされていません。詳細なメカニズムを研究するためには、ヒトを対象とした研究では限界があり、動物実験系を確立する必要があります。本研究では、ラットを対象として食感認知を評価する実験に取り組みました。評価方法として、味覚認知試験で用いられている「嫌悪?嗜好学習」試験を応用しました。その結果、ラットがウスターソースと同等の低い粘度(3.6 mPa?s)および1/500 mm程度の非常に小さな微細粒子を識別できることを明らかにしました。今回、開発した実験系を用いることで、ラットの食感認知における受容分子や脳の神経回路を明らかにすることが可能となります。
 本研究成果は2022年9月30日に「Scientific reports」、2024年4月1日に「Physiology & Behavior」に掲載されました。

用語説明
テクスチャー感覚:食品の物理的性質によって口腔内で生じる感覚のこと。ネバネバ、ツブツブといった感覚のこと。
嫌悪学習:特定の食品を食べた後に腹痛などの不快な体験を引き起こすことにより、その食品を避けるようになる学習のこと
嗜好学習:特定の食品を食べる際に甘味などの美味しい体験と繰り返し組み合わせることにより、その食品を好むようになる学習のこと

研究者からのコメント
 食感は美味し噛んで飲み込むことに必須の感覚です。これまでヒトでしかほとんど研究が行われてなかったのですが、実験動物でも食感評価が可能になりました。高次脳機能の研究は私にとって初めての取り組みだったので、基礎から勉強し始めて試行錯誤の繰り返しで本当に苦労しました。本研究は歯学科研究室配属や大学院生と進めた結果です。興味がある方は是非一緒に研究しましょう!

論文?研究者情報
PubMed : https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38336088/
              https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37689308/
              https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36180505/
ORCID :  https://orcid.org/0000-0003-2049-6624
researchmap : https://researchmap.jp/c_nakatomi


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