骨細胞株MLO-Y4に対するIL-33刺激によるIL-6産生誘導の分子機構について【 顎口腔機能矯正学分野 野口 紗英 医員 】
骨細胞株MLO-Y4に対するIL-33によるIL-6産生誘導の分子機構について
顎口腔機能矯正学分野
野口 紗英 医員
研究内容
骨のリモデリングは、生体内で恒常的に行われており、歯科矯正治療の歯の移動にも関わっています。骨のリモデリングに関わる細胞の中で、破骨細胞、骨芽細胞については多くの研究が行われていますが、骨細胞の知見は少ないです。本研究では、骨細胞様細胞株を用いて、周囲の変化に対する骨細胞の反応の一部を解明することを目標としました。感染分子生物学の研究室と共同して研究を行いました。「PCR検査」「ELISA法」「Western blotting法」「免疫染色法」「クロマチン免疫沈降法」などを駆使して研究を行った結果、矯正力をかけた歯周組織に高発現するIL-33により、骨細胞株MLO-Y4はNF-κB、JNK/AP-1、p38 MAPKシグナル伝達経路を介して、IL-6の発現を誘導することを明らかにしました。今回の研究は、知見の少ない骨細胞の内部機序を解明する一助になると考えています。
本研究成果は2023年10月2日に「International Journal of Molecular Sciences」に掲載されました。
用語説明
IL-33:骨吸収の制御などに関連するといわれている因子。
シグナル伝達経路:細胞が細胞外のシグナル分子を感知し、細胞内にその情報伝達を行う経路。
IL-6:代表的な骨のリモデリング調節因子。
研究者からのコメント
私にとって初めての基礎研究だったので、最初は実験の手技を覚えたり、研究に関する因子等の内容を理解するなど苦労することがたくさんありました。しかし、先生方やほかの大学院生が丁寧に教えてくださったのですぐに慣れて、早く新しいデータを出したい!と研究を楽しんで行うことができました。
論文?研究者情報
PubMed : https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37834290/
https://www.mdpi.com/1422-0067/24/19/14842