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Apert症候群モデルマウスの顎下腺形態が明らかに【 顎口腔機能矯正学分野 岩田 大季 医員 】


09iwata2.jpgApert症候群モデルマウスの顎下腺形態が明らかに
顎口腔機能矯正学分野
岩田 大季 医員


研究内容
 Apert症候群は頭蓋冠縫合の早期癒合、合指症を主症状とする遺伝子異常が原因の先天性疾患です。口腔内の症状として下顎前突や開咬といった不正咬合を認め、矯正歯科治療が必要となります。当大学附属病院矯正歯科に通院しているApert症候群の患者さんの唾液量が多いことから、唾液腺に着目した研究に取り組みました。ヒトを対象とした実験では限界があるため、胎生期マウスの顎下腺を用いて実験を行いました。顎下腺形態の評価として、組織切片を作製して顎下腺面積を測定しました。実験群のマウスは対照群に比べて、顎下腺全体に対する上皮面積の割合が大きいことが明らかになりました。上皮面積増大の原因を探るため、顎下腺の発生に関与するFGFシグナルの解析を行いました。結果としてFGFシグナルが亢進し、細胞増殖が増加していることが分かりました。今後、唾液腺の分泌機能に着目した研究を行うことによって、高齢化に伴い患者数が増加している口腔乾燥症治療の一助となる可能性があります。
 本研究は2024年1月19日に「Journal of Oral Biosciences」に掲載されました。

用語説明
顎下腺: 唾液を分泌する器官のひとつ。全体の約6割の唾液を分泌する。
FGF: 人体で作られるタンパク質の一種。脳、皮膚、肺、唾液腺などの組織の発達と修復に重要な役割を果たす。

研究者からのコメント
 唾液量が多いという患者さんの症状がマウスを用いた動物実験を通して、原因が明らかになってきました。胎生期マウスの顎下腺は100?ほどと小さく、研究開始当初はかなり苦戦しました。Apert症候群の唾液腺に着目した研究は先行研究がほとんどないので、まだまだ分からないことがたくさんあります。未知への探求心がある方は一緒に研究をしましょう!

論文?研究者情報
PubMed : https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38246420/
ORCID : https://orcid.org/0000-0001-9396-0112
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